ソニー次の改革は?ずばり焦点は2つ
現在、ソニーを取り巻く事業環境は大きなスケールで、しかも猛スピードで変化している。特に、AIロボット分野の成長期待が急上昇している。ソニーもこれに気付いて改革を急いでいる。
その一つが、金融事業の分離だ。9月、金融子会社のソニーフィナンシャルグループを分離して東証プライム市場に上場させた。金融事業は、モノづくりやコンテンツ創出とは異なる事業である。そのため、ソニー全体の事業ポートフォリオを分かりにくくしていると、かねて投資家から指摘されてきた。そうした懸念を払拭するためにも、ソニーは金融事業を切り離した。
今後もソニーは一段と改革を実行するはずだ。複数ある選択肢の中でも注目は、「エクスペリア」ブランドのスマホと、ホンダと合弁で運営するEV(電気自動車)事業だろう。
エクスペリアのスマホは、グローバルシェアが低下傾向にある。最新モデルでの不具合もあった。また、自動車業界ではエンジン車と電動車のせめぎ合い、ソフトウエア・ディファインド・ビークルへの対応など課題が山積しており、全方位で推し進められる企業でないと難しい。ソニーがAIロボット事業に集中するためには、スマホや自動車事業に改革の焦点が当たる可能性は高い。
一方、半導体事業の新たな運営体制にも期待したい。「ウォークマン」が典型例だが、ソニーは創業以来、新しいハードウエアを生み出すことで、消費者に新しいソフトウエアを提供してきた。
ロボット分野が成長すれば、画像処理センサーの需要はいっそう増加する。ソニーは半導体事業を内包するので、コンテンツや、AIロボット分野との新たな結合を目指せる。
ソニーの競争力の源泉は、エレクトロニクスとコンテンツ事業の収益力を有機的に高めることにある。AIロボット分野に経営資源を再配分するために、具体的にどのような改革に取り組むのかが、当面の注目ポイントだ。
日本企業は構造改革の重要性を理解していても、なかなか実践できない。しかしソニーは着実に実践し、世界的企業であり続けている。ソニーの改革への姿勢は、多くの日本企業にとって手本になるはずだ。








