今週のキーワード 真壁昭夫Photo:Michel Porro/gettyimages

ソニーグループが映画『鬼滅の刃』のヒットや円安もあって業績好調だ。2012年以降3人のトップがリストラを断行し、新しいビジネスモデルにリソースを再配置したことが奏功している。次にソニーが改革の焦点にしそうな分野は何か。ずばり、2つあるだろう。自己変革の手を緩めてはならない。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

ソニー好調の裏にリストラ断行の成果あり

 ソニーグループ(以下ソニー)の業績が絶好調だ。映画『鬼滅の刃』のヒットや円安もあって、2026年3月期の業績を上方修正し、売上高は12兆円、営業利益は1兆4300億円、純利益は1兆500億円になる見通しだ。

 ただし、この好業績は一時的なヒットや為替の影響だけが理由ではない。ソニーの不断の努力、自己変革を続けてきた結果だ。ソニーはハードウエア中心の家電メーカーから、ソフトウエアにも強みを持つ企業へと変貌を遂げた。

 もちろん一朝一夕というわけではなく、相応の時間をかけている。振り返れば1990年代以降は、ウォークマンやハンディカムのようなヒット商品を出せていなかった。リーマンショック後の改革は遅れ、業績は低迷、ソニーの経営危機が取り沙汰された。

 今につながる改革が始まったのは、2012年以降だろう。トップの意思決定で、企業は生まれ変わることができる。3人のトップが危機感を持ち、リストラを断行し、新しいビジネスモデルにリソースを再配置した(詳細は後述)。

 選択と集中の結果、映像系の半導体事業で得た資金を、ソフト分野である音楽、ゲーム、映画へ配分していき、反転攻勢へとつながったのだ。

 ただし、変革は常に続ける必要がある。次にソニーが改革の焦点にしそうな分野は何か。ずばり、2つあるはずだ。世界トップクラスのコンテンツ、エレクトロニクス企業に成長するためには、避けて通れない要素になるだろう。自己変革の手を緩めてはならない。