グローバル組織では2人の上司によるデュアルレポートライン(編集部注/1人の社員が2人の上司に報告義務を持つ仕組み)が存在します。ここは高度なマネジメントが求められるところでもあります。

 デュアルレポート組織では、1人の上司を「ソリッドマネージャー」、それ以外の上司を「ドッティドマネージャー」とします。前者を「実線」、後者を「破線」と呼びます。

図表:デュアルレポートのマトリックス組織同書より転載 拡大画像表示

 この2人の上司には緊密な連携・コミュニケーションが必須となります。とくに、予算や評価などは双方のマネージャーが話し合って決定します。グローバル化が進んだ企業のガバナンスには、部門間の連携が不可欠なのです。

 2人が合意できない案件については、ソリッドマネージャーが最終決定権を持ちます。ここでもレポートの持つ権限と責任についてよく理解しなければなりません。

 2人の意見が合わなかった場合は、一般にソリッドマネージャーが最終決定権と責任を持ちますが、人間が運営する組織なのでさまざまなケースがあります。

 たとえば、一方のマネージャーが無関心の場合や、両者が納得せず合意しない場合などです。こうしたケースでは、ソリッドマネージャーとドッティドマネージャーを交替するという判断もあり得ます。

 また、グローバル統一を重視するか、ローカル(リージョン)を重視するかでも選択は変わります。管理部門において、本社部長と海外子会社社長のどちらをソリッドマネージャーにするかはその企業の戦略によって決まります。

 たとえば人事では、グローバルに人事制度・施策の統一を重視しているのであれば、本社人事部長がソリッドマネージャーになるでしょう。

 一方、各リージョンの事業のサポートを重視するのであれば、海外子会社社長がソリッドマネージャーになります。