同じように、仕事を引き継いだ人にも、経験を積む時間が必要になる。一度任せたら、細かいことには口を出さずに、その人の成長を見守ろう。そしてミスをしたら手厚くフォローしよう。それがリーダーとしての役割だからだ。
また、リーダーはメンバーにはできない仕事こそ引き受けていくべきだ。
たとえば、チームのメンバーが経営陣やクライアント企業の幹部に直接働きかけて、予算の確保や意思決定の承認を得るのは難しいだろう。だからこそ、リーダーがその役割を担い、メンバーが自分の業務に集中できるようにしていこう。
余計なタスクを抱えられるほど
リーダーは暇じゃない
リーダーシップについて、リーダーが責任を負うべき分野は次のように多岐にわたる。
・チームの目的・ビジョン・行動指針を打ち立てる
・それらを日々の意思決定に活かしながら、一貫性をもって伝えつづける
・チームが望む文化を育む
・必要なタスクを明確にし、それを誰が担うかを決める
・誰がいつまでに何をやるかを管理し、進捗を確認する
・チーム内外の衝突を解消し、実務をこなすメンバーを守り、支援する
これらの業務はリーダーだからこそ担うべきものであり、それだけで十分にフルタイムの仕事になる。したがって、本来行なうべきではないタスクも抱え込んでしまうと、これらをこなすことが難しくなってしまう。
そのため、多くのリーダーはGTD(編集部注/筆者が提唱した仕事整理法。頭の中のやるべきことをすべて外に書き出し、体系的に管理することで、ストレスなく仕事を進めることを目的とする)で提唱されている「仕事を明確にするための質問」の順番を少し変えている。
通常であれば、「次に何をすべきか?」を考えたあとに、それを誰かに任せるかどうかを判断する。
しかし、リーダーはまず「これは誰かに任せられるか?」と考える。任せられる仕事であれば、できるだけ大きなまとまりで引き渡すようにする。
単に「次にやるべきこと」だけを任せるのではなく、プロジェクト全体を委ねたり、場合によっては自分が担当していた業務領域そのものを引き継いでもらったりすることで、リーダーが本来行なうべき仕事に集中できるようにするためだ。







