この設計は、すかいらーくが掲げる「店舗中心経営」という方針とも整合しています。

 かつての店長は、日々のオペレーションを管理し、トラブルを防ぐ「現場管理者」でした。しかし、今やチームを束ねて価値を生み出す「店舗経営者」と店長の役割はシフトしているのです。

 成果に応じて最大1000万円の年収が可能となる制度は、単なる報酬設計ではなく、「あなたの意思決定が、店舗の経営そのものだ」という、すかいらーくからの強烈なメッセージなのです。

DXの本質は
「人を活かす経営」

 こうして見てみると、すかいらーくの新人事制度とDXは、“人を活かす仕組み”へと転換するための構造改革だったことがわかります。

 定型業務をテクノロジーに委ね、人にしかできない価値に集中する。そのためにこそ、人への投資を惜しまない。

 DXを“人を減らす手段”ではなく、“人を活かす戦略”としてデザインできるか。

 この「人が主役のDX」をいかに実現するかという問いは、今を生きる全ての企業に突きつけられています。