迷惑防止条例が制定され
路上でのスカウト行為は禁止
スカウトの仕事を一言でいえば、A社に勤める社員から依頼を受けて、B社に転職させることである。テレビのコマーシャルは、現在の勤め先で与えられている条件よりも「好条件」で他社に移ることができるとちらつかせるが、何をもって「好条件」とするのかは、そう簡単には定義できない。
一時的に収入が増えるからといって、生涯賃金で考えたら損をする。そんな求人はごまんとあるし、転職エージェントを使って成功した転職がすべて幸福かと言えば、そうでないケースもある。
そうした疑わしさをよりシンプルに表現しているのが、歌舞伎町のスカウト会社かもしれない。大手の人材紹介会社が「A社の社員から依頼を受けて、B社に入れる」ことで金を稼ぐように、歌舞伎町のスカウト会社も「ナイトビジネスに従事するA社の社員(や業務委託契約者)から依頼を受けて、B社に入れる」という点は同じだ。
転職エージェントが「昼職」を舞台にするように、歌舞伎町のスカウト会社は「夜職」を舞台にする。そして、この夜職が「キャバクラのA社からB社への引き抜き」である場合は、この仕事は合法である。
とすると、私と「ビジネス半分、親しみ半分」の付き合いであるスカウト会社の社長やその部下たちは、どうして何度も逮捕されてしまうのか。
それは、路上でのスカウト行為が各都道府県の迷惑防止条例に違反するからだ。また、彼や部下たちがキャバクラだけではなく、性風俗店に勤める者たちの転職活動もサポートしたからだ。
スカウトという職業自体は違法か?
繰り返すが、違法ではない。性風俗産業などの“有害な業務”の仕事を紹介さえしなければ――これは、いったいどういう理屈なのか。
風営法の届出を出して営業しているのに
“有害な業務”とされる問題
日本国憲法の第22条1項が規定している通り、この国には「職業選択の自由」がある。
もちろん、違法で公共の福祉に反するビジネスは自由の埒外と見なされ得るが、風営法に規定されており、風営法の届出を出して営業している性風俗店、本番行為を伴わない性風俗産業は、完全に「適法な職業」である。







