今回はAD高橋氏の私物ジムニーノマドに試乗します

 みなさまごきげんよう。

 フェルディナント・ヤマグチでございます。

 めでたい。実にめでたい。

 AD高橋氏が注文していた超入手困難車、「ジムニーノマド」が、この度めでたく納車されたのだ。

 爆発的な人気で、メーカーはメディア向けの試乗枠をまだ解放していない。供給が追いつかない中、人気をさらに煽られるのは得策ではないし、そもそも試乗車を用意するくらいなら待ちくたびれている客に回そう、という判断だろう。

 今回は、高橋氏に無理を言って、納車されたばかりのホヤホヤの新車に試乗させてもらうことになった。目指すはジムニーのプロショップ「APIO」である。首都高と東名と一般道を使い、片道およそ50km。3枚ドアジムニーとの差を確かめるには絶好のルートである。

 それでは早速試乗記に……と行きたいところだが、その前に。このクルマが登場した背景について触れておこう。

ジムニーノマド、なぜこんなに話題なのか?

「ジムニーが5ドアに」ただそれだけのことなのに、日本中をここまでザワつかせたクルマは近年ちょっと記憶にない。

 55年の長きにわたるジムニーの歴史の中で、初めて登場した5ドア仕様車が「ジムニーノマド」だ。軽自動車ではなく、1.5Lエンジンを搭載する普通車である。その反響は凄まじく、わずか4日間で5万台(!)もの受注を記録した。

 出せば売れることは分かっていた。しかしスズキ自身、ここまでの反応は想定外だったようで、注文受付を早々に停止してしまった(年明けにはいよいよ受注が再開されるらしい)。

 なぜ今になって、これまで“あえて造らなかった5ドア”をスズキは世に出したのか?

 ジムニーは1970年の初代誕生以来、一貫してショートホイールベースの3ドア、それも軽自動車規格(現在は660cc。デビュー当初は何と360ccだ)という、日本独自の極めて特殊な枠組みの中で進化してきた“硬派のクロスカントリー車”である。