ドトールコーヒーの創業者は接待を「邪道」と痛烈批判

「ビジネスの邪道」「ヘドロのよう」ドトール創業者が忌み嫌った日本人の〈あるある習慣〉とは?ドトールコーヒー創業者の鳥羽博道氏 Photo:JIJI

 しかし、世の中の接待の多くは、残念ながらそうした「本気の会食」とは違う。「会社の金で飲みたい」「愚痴を言ってスッキリしたい」「異性と楽しく過ごしたい」など、個人的な欲やストレス発散のために行われる接待も多い。

 こうした目的の接待費は、全部なくなっても問題ない。なぜなら、それは経済活動ではなく、ただの甘えであり浪費だからだ。

 本気で仕事に向き合う人にとっては、食事の時間であっても緊張感のある勝負の場だ。そうした人たちの間で交わされる会食こそが、本来の意味での“接待”であり、価値があると言えるのである。

 世の中は清らかな水ばかりではない。「多少の泥を飲むのも大人の甲斐性」「きれいごとだけでは渡っていけない」と人は言う。

 だが、その言葉に激怒し「否」を突きつけた人物がいる。

 ドトールコーヒー創業者、鳥羽博道氏だ。 著書『ドトールコーヒー「勝つか死ぬか」の創業記』(日本経済新聞出版)で、彼は接待を明確に「邪道」と断じている。

 かつて鵜飼を見て、強い者が弱い者を搾取し操るビジネスの縮図だと感じ、「鵜にならない、鵜匠にもならない」と誓ったのだ。

《日本企業の接待交際費は年間何兆円にも上ると言われている。なかには「飲ませ、食わせ」で取引先の担当者にいい思いをさせて、ビジネスを円滑に進めようとしているところがある。(中略)しかしながら、そんなことをやっている企業は早晩消えてなくなるだろう。なぜなら、そうしたことはビジネスの邪道であり、正道ではないからだ》(同書)