「しゃちほこ停め」「茨城ダッシュ」「阿波の横走り」…全国の“知らなきゃ危ない”運転ルール写真はイメージです Photo:PIXTA

クルマの運転マナー界隈で、その地域ならではの「ローカルルール」をまとめてみました。今では廃れたものもあり、「あ~昔はあったなあ」「あそこはそうだった」と思う人もいるでしょう。(モータージャーナリスト/安全運転インストラクター 諸星陽一)

「サンキューハザード」はなぜ生まれた?

 世の中には「ローカルルール」と呼ばれるものが存在します。一部の地域でのみ通じるルールという意味ですが、中には業界、団体、グループなどでのみ通じるルールもあり、本稿ではそれらも広義のローカルルールと捉えます。クルマの運転マナー界隈で言うと、今は当たり前のように使われる「サンキューハザード」もローカルルールでした。

 サンキューハザードの起源はハッキリしませんが、筆者がクルマに乗り始めた1980年代初頭から徐々に増えてきたと記憶しています。当時、夜間に高速道路を走る大型トラックが車線変更をする際、車線変更したトラックが後続のトラックに対するあいさつとして行われていました。車線変更をした後に手を挙げて後続車にあいさつすることも行われますが、大型トラックは手を挙げても相手に見えないので、こうした行為が広がっていきました。

 当時、トラックにはまだスピードリミッターは装備されていませんでした。ただし、走行性能は高くなく、最高速度は100km/hプラスアルファが限界。トラックは一度、速度が低下すると速度復帰が難しいので、速度を維持するためにもトラック同士で車線を譲りながら走っていたというわけです。

 そこで生まれたサンキューハザードが、いつの間にか一般車にも浸透し、今や誰もが行うようになりました。とはいえ、ハザードランプの使い方は決められています。ハザードというぐらいですから、危険なときに使うのが基本であり、本来の意味から逸脱した使い方に筆者は反対です。