血糖値が上がる季節到来、週末の運動で対処をPhoto:PIXTA

 血糖値を自動的に測る「持続血糖モニター(CGM)」は、インスリン使用者など一定の条件下で保険適用されており、血糖値管理に欠かせないツールになりつつある。

 さらに血糖の変動をリアルタイムに把握することで、これまであまり意識されていなかった血糖の季節変動や週内変動が見えるようになってきた。

 リアルタイムCGM使用中の退役軍人を対象とした米国の調査では、自己免疫疾患である1型糖尿病(以下、1型)、生活習慣病の2型糖尿病(同2型)患者の最大6年間のデータを使用し、血糖値の変動を解析している。

 対象はインスリンとそのほかの糖尿病治療薬で治療中の1型892人(解析開始時の年齢中央値は56.0歳)、2型1716人(同65.0歳)。過去の血糖値を反映するHbA1cは、それぞれの中央値で8.3%と、8.1%だった。

 解析の結果、平均血糖値(MG)には季節変動があり、1型、2型共に10月から12月の晩秋から冬にかけて上昇し、2月から春にかけて下がることが判明。MGが最も上昇したのは12月で、最も低かったのは4月だった。

 また1週間のMGの動きでは1型、2型共に水曜日が最も低く、土曜、日曜の週末にかけて上昇。日曜日でピークに達することも判明した。こちらは言うまでもなく「週末のダラダラ食い」が関係しているのだろう。

 人間も生物である以上、食料が乏しくなる冬に備えて秋の実りをおなかいっぱい食べ、皮下脂肪として蓄える身体の仕組みがある。一説には、果物の甘味が刺激となり、インスリンへの反応が鈍り“蓄えモード”になるらしい。逆に春にかけては、活動期に備えて筋肉での糖代謝が活性化するという。

 季節性の変動については日本でも同様の傾向が報告されている。しかも、日本の冬場はクリスマスに正月、そして昔より下火になったとはいえ、歓送迎会など宴会続きの季節が到来。生理的なエネルギーため込み現象にプラス、春にかけても血糖を悪化させる食生活と運動不足が続く。

 対処方法としては、せめて週末にちょっと汗をかく程度の運動を小一時間から150分ほど行うこと。血糖の変動を抑えるために乗り気ではない「飲み会」を断る決断力も必要だ。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)