吉沢亮は残念キャラでも秀逸!大ヒット『国宝』から一転、ヤケクソ演技がハマり役「悪いなつまらん授業で…」〈ばけばけ第48回〉

「私はただの、通りすがりのただの異人です」

「しんどいですよね。私も母が病で寝込んだ時に看病したことがありますが、回復した途端に今度は私が熱を出して」
「きっと気づかぬうちに疲れていたんだろうなと」

 小谷は自分の体験から、トキをおもんぱかるが。

「あれ違いました?」
「何年も前の話ですが、親戚のおじの看病をしちょったことがあって。看病しちょるとおじのことを思い出してしまって。私の看病が足らんかったのか亡くなってしまいました」

 トキがひとりで看病していると心細い理由がわかった。何年も前のことをいまでも重く抱えているトキ。あっけらかんとして見えて悲しみを抱えているのだ。

 想像でしかないが、小谷は、こんなトキの憂い顔にもキュンとなったに違いない。いつも明るく朗らかに見える人が、こんな悲しい思いをしていたなんて! とか思って。

 それを襖(ふすま)の向こうから聞いていたヘブンは、「ワタシ、シヌ」と聞き間違える。日本語を断片的に聞いていて、「亡くなる」という言葉だけ聞き取って不安になったのだろう。

 だが、「たとえ死んでも悲しまないでください。私はただの、通りすがりのただの異人です」

 そう英語で語りかける。

 小谷がそれを通訳。

 トキは「通りすがりのただの異人」という言葉に引っかかりを覚える。

 今週のサブタイトルが「トオリ、スガリ。」でまさにこれ。

 この言葉を聞いて久保田早紀の「異邦人」を思い出した人は昭和の人。

「通りすがり」はとりあえず傍らに置いて、時間が経過。

 小谷はまだヘブン宅に居座っていて、トキがヘブンの看病をしている間、怪談の本を眺めている。この怪談の本は、フミ(池脇千鶴)がプレゼントしてくれたものだ。トキの働きがいいため、松野家もゆとりが生まれているのだろう。

「本当にお好きなんですね」
「本当に? 本当にとは?」

 小谷はなぜ、自分が怪談好きだと知っているのか。サワ(円井わん)から聞いたことをトキはここではじめて知る。

 小谷はあの朝、トキの家をのぞいていて、偶然サワに会ったことは隠し、学校で会ったのだと嘘をつく。トキへの恋心をひた隠して、少しずつトキに接近をはかる小谷。若いのに用意周到である。さすが英語を学ぶ優秀な学生だ。

 だが小谷はついに積極的な行動に出た!