ついに松野家に(再び)跡取りが!?
ヘブンが回復したら、怪談の舞台にご一緒しませんかと誘う。おお、これはランデブーのお誘いではないか。
トキが小谷も怪談が好きなのかと聞くと、
「ああいや私は好きというかまだこれから。これから好きになれたらと」とごまかす。
事前にトキの好きなものをリサーチし、だが、それについて知ったかぶりはしない。なかなかよくできた人物だ。これが錦織だったら、スキップができないのにできると言い張ったりしたように、怪談に詳しいとか言って馬脚を表したりしそう(でも錦織はそういう残念なところがチャーミングなのだ。ちなみに錦織は怪談否定派である)。
トキは小谷の言動を訝しむことなく「いきましょう」と素直に承諾。
そこへ、ヘブンが起きてきて、小谷を「あばよ」と帰らせようとする。
ヘブンは、思い人イライザ(シャーロット・ケイト・フォックス)がいるにもかかわらず、トキがほかの男性に慕われているのを感じると邪魔しようとするのか。
それとも、純粋にトキに悪い虫がつかないように、雇用者としての責任を感じているのか。
その頃、松野家では、サワの報告で、小谷の品定め中。
「私の印象では真面目そうですし、松江中の生徒ですけん、賢くて将来有望なことは間違いありませんし、申し分ないでないかと」
小谷家は松野家と格が同じくらいで、家柄としてもOK。
「いよいよ松野家に跡取りができるかもしれんのう」「いよいよというか、再びと言いますか」
勘右衛門(小日向文世)と司之介(岡部たかし)はうきうき。
でも大事なのはトキの気持ちだ。
「よし まずはおじょが帰ってきたらその気持ちとやらを確かめてみよう」
やる気満々の松野家にサワが「ダメです」「トキには内緒にしておいてほしい」と止める。
そもそもサワが勝手に松野家に報告したことだった。
「おサワちゃんって意外とお口が軽いのね」
トキはまだ、小谷に対して何も考えていない。松野家、取らぬタヌキの皮算用。勇み足になりそうな感じ。
そもそも相手は中学生。彼はトキと何歳離れているのか。10歳以上離れているのではないか。まあ、年上女房も全然あった時代ではあるだろうけれど。
どうなるトキと小谷。気になるなか、松江は異例の大寒波に見舞われた。これは実際に歴史上あった大寒波だ。
タエ(北川景子)たちがトキが手を差し伸べて家に住めるようになってよかった。あのあばら家ではのたれ死んでいたことだろう。
「この冬 特別 この冬 大寒波」とトキから聞きながら、ヘブンは布団のなかでガタガタ震え続ける。
「先生、大変な時に通りすがりましたね」とトキ。
分厚い布団がトキとヘブンの間を隔てているようだ。
せっかく距離が縮まったと思ったのにまた離れてしまった気がして、トキはしょんぼり。鳥との距離のほうが近いかもと鳥に話しかける。カゴにはいった鳥よりも、布団にくるまったヘブンのほうが遠く感じられる。
自分の故郷松江をよく思ってもらえないこともさみしいのかもしれない。
『ばけばけ』は陰影のある画づくりになっていて、コメディ部分がなければ、しっとりした、藤沢周平の描く庶民の生活を描いた時代劇のようにも見えるのだ。鳥を見つめるトキ、生け花を生けるトキ。ヘブン的にいえば「すばらしい」。松野家でのドタバタとしっとりトキ。このギャップを外国人が見たら、どう感じるのだろうか。
もしかしたら、このしっとり部分がヘブンの見た日本人の素敵な感じで、コメディの部分が、実際の日本人の日常なのかもしれないなあなんてことを筆者は思った。









