また、女性だからといって100パーセント安心はできません。もちろん、心配しまくる必要はありませんが、シルバーモンスター的な爆発は「男性のほうが多い」というだけで、「女性には無縁」というわけではありませんので。

 私は、若い頃はわりと感情的になったりすることが多かったのですが、不思議なもので、思考の柔軟性を意識するようになった今は、だいぶ心穏やかに楽しく生きることができています。おそらくその場その場の状況に対応しながら、物事の可能性を考えられるようになったからだと思います。

40歳を過ぎると低下する
こころの知能指数

 EQという言葉はみなさんもよくご存じでしょう。日本では1996年に出版されたダニエル・ゴールマンの著書『EQ こころの知能指数』で一気に知られることとなりました。もともとは1980年代から研究を続けていたイェール大学のピーター・サロヴェイ博士とニューハンプシャー大学のジョン・メイヤー博士によって提唱された、対人関係や感情に関する情動的知能の概念を言います。それは次の5項目に整理することができます。

(1)自分の感情を正確に知る
(2)自分の感情をコントロールできる
(3)楽観的に物事を考える。自分を動機づける
(4)相手の感情を知る
(5)社交能力

 この5項目に挙げられた要素は、いずれも前頭葉の若さと大いに関連しそうだということに、すでに気づかれたことでしょう。

 自分の感情の把握とコントロール。どんな状況でも悲観的にならずに物事をとらえ、意欲的に取り組める思考回路。他者との交流と他者に対する共感能力。たしかに、いずれも前頭葉の担当領域です。ところが、前頭葉と深く関わるだけあって、この知能は40歳を過ぎる頃から低下していきます。

自分の心の状態を把握して
相手への共感を心がける

 私たちは一般に知能指数と呼ばれるIQのほうこそ、加齢とともに低下していくと考えがちです。しかし、実際にはIQは40歳を過ぎてもあまり変動がないのに対し、むしろ低下の問題が指摘されるのがEQなのです。