視覚や嗅覚など外部情報を受け取る神経、その情報処理に必要な神経、記憶学習にかかわる神経、内分泌ホルモンによって代謝を調節する神経など、多様な機能を担う神経集団が特定されている。もちろん、摂食行動にかかわる神経回路もだいぶわかってきている。
筆者の研究室でも、ショウジョウバエを使った食欲の研究をしている。例えば、ショウジョウバエを絶食させてから、その摂食量を測定すると、とてもよく食べる。小さなショウジョウバエの摂食量をどう測定するのか疑問に思う読者がいるかもしれないので、ここでは2つの方法を紹介しよう。
1つには、CAFE(カフェ)試験という小洒落た名前がつけられている(図16)。この方法では、液状の餌を小さなキャピラリー(毛細管)に入れておく。これを、ショウジョウバエが入った飼育容器に刺しておくと、お腹を空かせたショウジョウバエが、これを舐め食べる。食べれば食べるほど、キャピラリー内部の液体が減っていくので、その減少量を数値化することができる。さらに応用として、キャピラリーを複数準備し、そこにタンパク質と炭水化物を入れておくことで、ショウジョウバエの食の好みについても測定することができる。
イラスト/安斉俊(同書より転載) 拡大画像表示
ハエの嗜好の偏りを
検討できる「二択嗜好実験」
もう1つは、二択嗜好実験とよばれるものである(図17)。これは、異なる餌(例えば砂糖水と酵母抽出液)に対し、異なる色素(例えば赤と青)を混ぜ込んでおき、それぞれシャーレに置いた濾紙に染み込ませておく。
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