このJRE BANKは利用者に対して破格のサービスを提供することで話題を生みました。たとえば口座残高50万円以上のビューカード保有者に対しては新幹線や在来線の40%オフ特典が年間最大6枚提供されます。残高300万円以上だと特典は最大10枚になります。
長距離通勤をする人にとってうれしいのがSuicaグリーン券の無料です。JRE BANKを運営するJR東日本では列車の空席はその気になればすべてインセンティブとして投資額ゼロで利用者に還元できます。これは孫さんとは違った形で、顧客に対して大盤振る舞いできる「財布」を持っていることになります。
このJRE BANKの大盤振る舞い戦略にテッペイが連動したとしたらどうでしょうか?それもJR以外の街中の小売店や飲食店でテッペイを使えば、さらに新幹線の40%オフ券が追加でもらえるとしたら?そうなると鉄道利用が多いユーザーはPayPayよりもテッペイを日常的に使い始めるかもしれません。
難しいのが3番目の行動経済学的な行動変化です。なにしろモバイルSuicaのアプリは普通のユーザーは日常的には開きません。そこで何らかの工夫が必要です。
たとえば荒唐無稽かもしれませんが、3番目の戦略案として上記のテッペイ利用に対するインセンティブを確定ではなく「利用に応じて当せん確率が増えるくじびき」にしてはどうでしょうか?しかも、くじを引けるのはモバイル定期券で通勤をしている時間帯だけと決めたとしたら?
毎朝、通勤電車に乗るたびにユーザーはSuicaアプリを開いて宝箱を開けなければいけないとします。アプリを開くとその日の当せん確率が表示されます。行動経済学的なゲーム要素を入れるのです。いつもテッペイを使っている人はかなり高い確率で50ポイントもらえるし、月に1~2回、結構高い確率で新幹線の40%オフクーポンが当たる確率がアプリ画面に表示されるとしたら?そうなるとSuicaアプリを通勤途中に一度開けるというのがユーザーの習慣になるかもしれません。行動経済学的にはこういう技が必要なのです。
とはいえPayPayの牙城は限りなく高い状況です。新たに始まるテッペイがこぢんまりと終わるか、それともチャンピオンを狙える挑戦者になりうるのか?これからのJR東日本とPASMO陣営の工夫次第で未来は変わるでしょう。ものすごく遅れてやってきたテッペイが、てっぺんをとる未来は来るのでしょうか?







