さらに、インセンティブでは思い切った形で国内の有力な小売や飲食チェーンと提携しました。具体的にはマクドナルドやすき家、ガストといった飲食チェーン、そしてセブンやローソンのコンビニで三井住友カードでタッチ決済すると大盤振る舞いのVポイントが還元されるサービスを始めたのです(注:還元率は利用者のサービス利用に応じて最大20%)。これはPayPayとは違った形での大型インセンティブの提供でした。
ではVポイントはうまくいったのでしょうか?結論から言うとPayPayの牙城は崩れてはいません。三井住友の最大の失敗は行動経済学を軽視したことでした。
実際、私も三井住友のキャンペーン開始以降、かなり積極的に三井住友カードのタッチ決済を使うようになりました。おかげでVポイントもどんどんたまりました。今回の記事のためにきちんと集計してみたところ私の還元率は約10%で、還元されたポイントだけで一年間で約5万円です。
ただ三井住友カードの場合、使っていても面白味がありません。セブンやガストでタッチ決済をしても、いくらVポイントがついたか決済段階ではわかりません。ずいぶんあとになって、ある日突然Vポイントの残高が100ポイントぐらい増えるのですが、いつの何の決済で増えたのかまったく因果関係がわからないのです。ここが三井住友が行動経済学を軽視した代償です。
PayPayのように使った直後に「PayPay」の声とともに「この決済で27ポイントがもらえた」といったことがわかると、買い物の度にちょっとうれしくなります。だからついつい決済の度にPayPayのアプリを開いてしまう。これが行動経済学の妙です。このサイクルが三井住友カードにはありません。
結局、私の場合は三井住友カードはマクドナルド、ガスト、セブンといったキャンペーン参加店舗に行ったときだけタッチ決済で使って、それ以外の日常の利用は無意識にPayPayで済ませています。戦略の観点で見れば三井住友の完全な失敗です。
では後発で参入するテッペイはどうなるのでしょうか?







