仕事相手は、マーカスのことを根っからの外向型人間だと思うかもしれません。しかし正確には、重要なパーソナル・プロジェクトを推進するために、マーカスは外向型を装っていたのです。
なぜ人は、自由特性に導かれた行動をとるのでしょう?
多くの理由がありますが、重要なのは「プロフェッショナリズム」と「愛情」です。
気難しいところはありつつも、家族を深く愛しているステファニーは、普段の自分とは違う行動をとることで、その愛を表現します。
マーカスの仕事には、プロとして、ミュージシャンやスポンサーにいい刺激を与えることも含まれています。遺伝的には室内で静かに読書や音楽鑑賞をすることが好きな内向型であるにもかかわらず、マーカスはこのプロフェッショナリズムに従って、仕事場では陽気かつ快活に振る舞い、音楽業界で高い評価を得ているのです。
キャラクターから
「出る」ことの意味
このように、私たちの日々の行動を導く3つの動機(遺伝的動機、社会的動機、個人的動機)について考えるとき、「自然な行動」とはいったい何を指していると言えるでしょうか?
遺伝的な気質に基づく行動は、文字通り自然な行動だと見なせます。それでは、ステファニーの感謝祭での優しい態度は、「不自然」なのでしょうか?
彼女は、大切なプロジェクトを実行する(しばらく疎遠になる家族との絆を深める)ために、普段とはかけ離れた行動をとりました。こうした行動は、“キャラクターから出た行動”と呼ぶことができます。このフレーズには2つの意味があります。
1つは、文字通り普段のキャラクターとはかけ離れた行動をすること。もう1つは「潜在的に持っていた性質が、表面に出る」ことです。
つまり、キャラクターから出るということは、「普段とは異なる行動をとる」と同時に、「潜在的な特性を表に出す」ことでもあるのです。自分にとって非常に大切なプロジェクトを実現するために、です。
たとえば、母親が娘の6歳の誕生日パーティを開くとします。自宅には、娘の友だちを15人招待します。遺伝的に内向型の母親は、パーティがうまくいくかどうかが不安です。







