「公立中から灘高校」を目指すための
修行の日々とは?

 転機が訪れたのは中1の時。同じクラスの仲の良かった友人が「俺、塾に入って勉強するわ」と言い出したのです。当時の僕は「あいつが行くなら、僕も行きたい」というよくある理由で、同じ大手学習塾に入ることになりました。

 そこで入塾テストの代わりに、その塾が実施していた中1向けの模試を受けることに。その塾は関西だけで展開しており、受験者数は500人ほどでしたが、僕は全体で22位という成績を取ったのです。

 当時の僕は人生で初めて返ってきた模試の結果に大興奮。英語・数学・国語のそれぞれの点数と、順位や偏差値が並んでいる成績表を見た時に「こんな結果が出るんだ!」「どうすればもっと上を目指せるんだろう?」とワクワクして胸が躍ったのを覚えています。

 もともと負けず嫌いな性格で、新しいものを学びたいという好奇心も強かったことに加え、自分の立ち位置を“見える化”できる面白さを知ったことが、僕をテストに夢中にさせました。

 こうして入塾した僕は、はじめは一般クラスに所属していたものの、数カ月後に特進クラスに移ることになります。一般クラスの授業は週3日ほどだったのに対し、特進クラスは週5日。中2、中3になると週6日に増えました。

「塾ばっかりの生活で、部活はどうしていたの?」とよく聞かれますが、一応陸上部に入っていました。

 野球やサッカー、バスケといったチーム競技の部活に入ると、塾中心の生活ではメンバーに迷惑をかけてしまうため、あえて個人競技を選んだのです。参加頻度は週1日ほど。いつ行ってもいいし、行かなくても迷惑をかけない個人競技は、気分転換には最適でした。

 部活を除くと、中学3年間が丸ごと受験直前期のようなスケジュール。授業が終わると塾に直行する生活を続けていました。修行のような毎日でしたが、意外と辛さはなく、自分の成績が伸び続けるのが楽しくて仕方ありませんでした。