これだけ勉強しても大苦戦
魔物が住んでいた灘高入試
筆者は灘高・東大を卒業後、「GAFA」の一角の日本法人などを経て、現在は「FIRE」を達成。作家としても活動し、自身や仲間のFIRE体験談を記したKindle本を発売しています。『君たちはFIRE後どう生きるか』(寺澤伸洋 著/Amazon KDP)。
しかし蓋を開けてみると、灘高校の入試本番では、想定外の大苦戦を強いられました。受験には魔物が住んでいるのかもしれません。
灘高校の受験は1日目に理科と英語、2日目は国語と数学があります。数学に至っては「6問で110分」と、試験時間が東大入試の文系数学よりも長く、高い処理能力が求められます。
1日目の理科と英語の手ごたえはそこそこ。機嫌よく家路につきました。一方、2日目の数学と国語は、「かつてこんなに悪かったことはない」と言えるほど最悪の出来でした。
数学は6問あるうち、大問1の「確率」を間違え、大問2は白紙。大問5も半分しか解けない始末。国語も古文の意味を読み解けず、2日目の試験が終わったあとは顔面蒼白。一緒に受けた仲間たちと話をするものの、何も耳に入ってこない状況でした。
家に帰って「どうだった?」と聞く母親の問いかけにも答えず、そのまま自分の部屋に閉じこもって布団をかぶりました。1日目と2日目の科目がこの順番で本当によかった。逆だったらどうなっていたことか。
そして泣いても笑っても、合否発表は翌日にやってきます。僕は仲間とともに、そして家族とともに、この3年間の集大成をこの目に焼き付けるために灘高校の体育館に足を踏み入れました。
「お前の結果や。自分の目で確かめてこい」
そう塾の先生に促されて、壁に貼りつけられた合格者の受験番号を一人で見に行かされる僕。
「21番…、21番…」
「ある! あった! あった!」
喜びと、力が抜けたのとがごちゃ混ぜになった感覚でした。
入試の結果は、400点満点中、合格最高点が335点、合格最低点が264点。そして僕の点数は287点(国語62点、英語78点、数学66点、理科81点)。大きなミスもありましたが、それでも何とか足りました。努力を重ねてきた時間は裏切りませんでした。
高校から灘の門をくぐった僕にとって、公立中学と灘高校は、同じ「学校」でありながら、まるで異世界のようでした。
次回の記事(後編)では、公立と灘の校風の違い、生徒や授業のレベル差、そして東京大学に合格するまでの道のりをお伝えしていきます。
・後編はこちらから『「公立中から灘高合格」の男がビビった超進学校の実態!塾なし・滑り止めなしで東大に受かった“異次元の授業”とは?』







