ヤマト運輸では、物価上昇など外部環境の変化による影響を正確に反映させるべく、2023年から宅急便の届出運賃を年度ごとに改定している。その一環で、今年10月には、120サイズ以上の大型荷物を対象に見直しを実施。
コストを正確に計算したことで
値上げと値下げのメリハリをつけた
「これも考え方はまったく同じ。コストを正確に計算したことで、大型荷物については値上げをし、同一度都府県内については実質的に値下げすることでメリハリをつけた。これからも、外部環境の変化に対応した柔軟なプライシングを進めていく」と櫻井氏は説明する。
より使いやすい運賃になったことで、取扱数量の増加を見込む。宅急便などの年間取扱個数(24年度実績)は約23億個強だが、そのうちの約1割を個人利用が占める。さらに、「そのうちの二桁パーセントが同一都道府県内で発着する荷物であり、根強いニーズがある」(櫻井氏)。個人間での贈り物や仕送り、新米の収穫時期におけるコメのお裾分けなど、多様な利用を想定している。
単価面では、この部分だけに焦点を当てると下がることになるが、「届出運賃が適用される個人などリテール領域は、法人領域よりも相対的に単価が高いため、利用が増えれば単価全体としての押し上げにつながる」という。
2026年は「宅急便50周年」
意義や使命感を再認識する機会に
宅急便事業は、ECの爆発的な需要拡大や労働力不足など外部環境の変化を受け、ここ数年は配達などオペレーションの生産性向上に重きを置く施策を続けてきた。そうしたなかで、今期は「もう一度お客様としっかり向き合いながら、商品・サービス設計や営業に力を入れて荷物を増やしていく方針を打ち出している」と語る。
そうした取り組みの結果、今年度上半期の主力3商品(宅急便・宅急便コンパクト・EAZY)のリテール領域(個人・小口法人)の取扱数量は前年同期比1.7%増の4億3500万個となり、着実な実績を積み上げている。
また、宅急便は2026年1月20日で、発売から50周年を迎える。櫻井氏は「ご利用いただいているお客様や地域社会の皆様に感謝をお伝えしたい。また、50周年を機会に、宅急便事業の意義や使命感、これまで培ってきた信頼などを若い社員にも伝えていくプログラムを検討している」と語る。







