闇金の規制はゆるかった。例えば、東京都の認可する貸金業は、都金と呼ばれた。この登録は3年ごとの更新だったが、闇金でも都金の更新された番号を持ち、事務所や電話、銀行口座の名義も偽名ではなく、自分の名義だった。
客が来ると「ウチは10日で3割の金利です。大丈夫ですか?」と説明をしていた。これも元金に対し3割なので正確に計算すると5割の金利だ。さらに書類代という名の手数料が引かれる。例えば7万5000円を借りると、先に金利分の2万5000円を引き、さらに書類代3000円を引いた額である4万7000円が客にわたされる。「返せなかったら、お互いに嫌な思いをするからね。ニコニコできないからね」と念を押す。
「返せないは通用しないよ」
特殊な貸付け手口で客を逃さない
当時のよし彦と客との会話はこのようなものだったという。
「他のサラ金、街金は借りてないの?」
「ないです」
と客は返事をする。ここで調べるふりをして事務所の裏へまわる。再度、客に聞く。
「お客さん、2、3件つまんでるでしょ」
「実は……」
「ちゃんとほかの借金を言ってくれるなら貸すけど、言わないなら信用できないから貸せないよ」
すると客は「20万円アコムで借りている」などと正直に話し始める。そこで「1番初めにウチに返済してくれるなら貸すよ。そうじゃないと追い込むよ。返せないは通用しないよ」と約束をさせる。だいたいの債務者は闇金を1番に返そうとする。
追い込みのやり方は最初にお金を借りにきたときから始まっている。
「客に携帯番号を書いてもらうと『鳴らしますね』と事務所から電話をしますが、事務所は携帯の電波が届かないように細工してあります。『あれ、携帯がつながらない。おかしいな。携帯を貸して』と裏にもっていき、客の携帯内のデータを全部パソコンにコピーします。
返済の初日に連絡がない人には『○○さん知ってますか?』と、兄、妹などの身内から友達、会社まで全部に電話します。また、自宅や会社に直接行きます。本人に会うと『今日、返済日なのは知ってるよね?なにしてるの?』と声をかけます。だいたいの人は返済しますね。
当時の法律では朝の5時から夜の21時まで訪問してよかったんじゃなかったかな。僕たちは夜中にも返済しない客のところには行ってましたね。そのころ、金の貸し借りは民事だったので警察は不介入でした。警察が来ても困らないように、自分の分野の法律の勉強は、弁護士に負けないぐらいしました」







