昨年の新語・流行語大賞の候補にもなった「頂き女子りりちゃん」を名乗って恋愛詐欺のマニュアルを販売し、自らも男性の好意につけ込んで現金をだまし取ったとして詐欺幇(ほう)助と詐欺罪に問われた渡辺真衣被告(25)の判決が22日、名古屋地裁で言い渡される。3月15日の公判で、検察側は懲役13年、罰金1200万円を求刑していた。(事件ジャーナリスト 戸田一法)
裁判官から名前を聞かれ
「渡辺真衣で~す」
起訴状によると2021年3月~23年8月、横浜市の50代男性に「滞納した家賃の支払いに充てるお金を貸してほしい」などとうそをつき、銀行振り込みで計約1億1000万円をだまし取った。
ほかにも同年4月~8月には茨城県の50代男性に「親と縁を切りたいが、養育費を返さないといけない」「借金を返せば同居できる」などのうそで生命保険を解約させるなどして計約3800万円をだまし取ったとされる。
詐欺幇助については、マニュアルの購入を希望した女子大生(詐欺罪で執行猶予判決)が男性から現金をだまし取る目的だと知りながら22年6月、マニュアルを販売した上で助言し、現金計1000万円余を詐取するのを手助けしたとされる。
初公判が開かれたのは昨年11月2日。証言台に立った渡辺被告は、黒髪にメガネをかけ、紺色のトレーナー、黒っぽいズボンを着用。動画の華やかな雰囲気とは別人のようだった。
しかし、この日は詐欺幇助罪しか審理されておらず、罪の意識もそう感じていなかったのか、罪状認否で起訴状の内容に間違いはないか問われ「ないです」と認めたものの、裁判官から名前を聞かれ「渡辺真衣で~す」、住所や仕事について問われても「ないで~す」「してないで~す」と間延びしたような返答で、とても反省しているようには見えなかった。
冒頭陳述で検察側は、渡辺被告がホストクラブへの支払いに困った際、勤務先の風俗店で客から援助してもらった成功体験から詐欺を繰り返すようになったと指摘。マニュアルを交流サイト(SNS)で販売するようになり、購入を希望した前述の女子大生にダウンロードできるリンクを送り、2万8000円を受領したと述べた。
証拠調べでは、マニュアルの販売で2000万円弱を売り上げ、数十人の男性から計約3億円を詐取したとの供述を明らかにした。