これだけ追い込むので対面で借金したお客に逃げられることはほとんどなかった。闇金組織はどんどんと店舗を拡大していく。

大物政治家に3億円を献上したが
押し貸しの横行で状況が悪化した

 人件費、家賃、経費、回収不能の金額などをさしひいても元金の7割は利益となる。1店舗の利益は月に1000万円。店長はその10%が給料だった。利益のほとんどを上納させ、部下にはどんどんと店舗拡大をやらせていく。700万円×1000店舗=70億円。頂点である会長はとてつもなく儲かっていた。

 配下の店を含め月商2億円、よし彦自身も数千万円は稼いでいた。これを貯金すれば、その後の人生は余裕だ。

 だが、この闇金組織にはルールがあった。「貯めると悪さをする」ので給料を貯金してはいけないのだ。これは資金を貯めて独立されるのを防ぐルールでもあった。会長は「お前がメシを食えている丼は、オレの丼だ。要するに全部オレの金」と強弁していた。

 会長に「オレが今乗ってるベンツを1000万円で買え」と言われれば、部下は買わなければいけなかった。会長の命令とメンツのためによし彦は六本木、銀座、新宿、池袋、上野で飲みまくった。誰を連れて飲むか、もしくはソープに行くかを考えるのが辛いほどだった。キャバクラには夕ご飯を食べに行くほどの感覚だった。

 ここまで組織が大きくなると、政治関連の裏金もあった。ある政治家に「3箱」を献上していた。ダンボールの箱にちょうど現金1億円が入る。だから3億円の献金である。

 よし彦は都内中心部のある料亭に3箱を運んだことがある。先生の秘書と名乗る男がいるが信用はできない。よし彦は「名刺を見せろ」とスゴむが、向こうも拒む。そのうち会長から電話がきて「ちゃんと金を渡せ。誰が裏金に名刺を渡すんだよ」と無茶苦茶に怒られた。その3億円がきいたのか、しばらくは闇金業も見逃されていた。