「何もしない空白の時間」が
子どもの才能を伸ばす

 親が習い事や予定を詰め込むことで、子どもから奪っているもの。それは、「自由時間」です。もっと言えば、「何もしない空白の時間」です。

 子どもは、手持ち無沙汰の先にこそ、本当の「遊び」を見つけ出します。

 わが家には3人の子がいますが、本人が「どうしてもやりたい」と言うもの以外、習い事は入れていません。週末も予定は入れず、ほとんどが自由時間です。

 すると、子どもたちは自由な時間を使って、自分で必要なものを創り出します。長女は、段ボールでお人形の家を作り、家具や着せ替え人形も紙で自作します。お友達にあげるための「サプライズバッグ」を思い付き、あれこれ中身を考えて楽しそうです。

 次男は編み物に夢中になり、自力でブランケットを編み上げました。家の庭を観察して掃除したり、犬の世話をしたり、近所をサイクリングしたりと思い思いに過ごしています。

 どれも、誰かに「やらされた」のではなく、子ども自身が「やりたい」というエネルギーで動いています。これこそ、子ども時代に伸ばしておきたい才能、「主体性」や「問題解決能力」を育む原点となります。

 もし、子どもの時間が、習い事や塾で埋め尽くされていたら……。段ボールで家を作ろうとひらめく「余白」もなかったはずです。

 思い返してください、「空白の時間」の効能は、大人も同じはずです。スケジュールが詰まっている時よりも、あえて何もしない時間があるほうが、新しいインスピレーションやアイデアが生まれやすいのではないでしょうか。

「苦手を補う」習い事は
子どもには「地獄」でしかない

 それでも、親が習い事の詰め込みをやめられないのは、なぜでしょうか。

 それは、「平均値」への恐れがあるからです。自分の子どもの「苦手」が目に付くと、親は途端に不安になります。

「うちの子は算数が平均点以下だ」「周りの子と比べて運動がどうも苦手だ」――。苦手を平均まで引き上げるために、学習塾や体操教室に入れようとします。