このエピソードは、大野耐一氏に直接薫陶を受けた、トヨタ自動車の技術職最高ポストである技監を11年間務めた林南八氏が語った話である。1年先の予想は当たらないけれど、1月先、1週先、1日先、と予想の期間が短くなればなるほど、予想が当たる確率は高くなるのは言うまでもないことである。
それ以上にスゴイ効果がある。それはリードタイムが短くなればなるほど「儲けるスピード」が上がることである。
今でこそ、世界の自動車産業をリードするトヨタ自動車だが、自動車事業の立ち上げは決して平たんな道ではなかったのは広く知られるところ。自動車開発にかかる投資は膨大。投資回収期間も極めて長い。
「当時、世界的に見て後発メーカーであったトヨタは、資金の乏しい中、いかに短期間に代金を回収するか、すなわちリードタイムを短くすることを第一義に考えざるを得なかったのです」(林南八氏談)
お客様からお支払い頂くお金の回収期間が、仕入れに支払う期間よりも短ければ、極端に言えば、資金なしでも商売ができることになる。トヨタ自動車を世界一の自動車会社に押し上げたのは「トヨタ生産方式」であるのは言うまでもないが、「トヨタ生産方式は貧乏だから生まれた」と林氏は語るのだ。
リードタイム短縮によって
「トイチ」を超える儲けが可能に
ここで、リードタイム短縮がどのくらい儲けにつながるか考えてみたい。100万円のお金を銀行に預けても金利はさして大きくない。
しかし、もし1年で金利10%の金融商品があれば、100万円のお金が1年で10万円のお金を生むことになる。
さらに、その期間が半年の6カ月になれば、1年で10万円を2回生むので、1年の儲けは20万円となる。それが3カ月ならば、1年で40万円。さらに1カ月ならば、元手100万円のお金が、1年で120万円の儲けを生むことになる。では、10日でならどうだろう?これは「難波金融伝・ミナミの帝王」でおなじみの「トイチ」と言われる、暴利とも言えるほど儲かる世界となる。







