1ページの「効率重視の罠」の図の赤の矢印に注目してほしい。「納期遅れが頻発する」として、約束納期を守るために、早めに投入することになると、ますます「リードタイムも長くなる」悪循環につながる。この状況を放置しておくと生産リードタイムがどんどん長くなっていくのは言うまでもない。

図表:流れを悪くし、リードタイムを長くする落とし穴同書より転載

 実は、この状況で起きているのは、シンプルに言うと「滞留時間」が増えているだけである。生産リードタイムの中には、モノづくりに実際にかかる加工時間(タッチタイム)と、加工を待つ滞留時間がある。モノづくりのタッチタイムは変わらないが、滞留時間だけが増えることによって、すべての問題が起きている。それを引き起こしているのはすべて効率重視の考え方である。

 生産効率重視で、設備稼働率を上げるためにまとめて生産したり、早めに投入することは、すべて滞留時間を増やす原因になり、皮肉にも「非常に非効率」な工場(注2)という結果を招くことになるのだ。

(注2)世界の工場を変えたと言われる名著『トヨタ生産方式』の著者、大野耐一氏は、この現象のことを、「一生懸命働いたことで、会社を貧乏にしている」と指摘している。『トヨタ生産方式の原点』付属DVDより。