彼が「生きていくうえでの拠り所」と適切な表現をしていることが非常に重要だ。
『ミッドサマー』のダニーではないが、手の届くところに支えとなる人間関係なり、コミュニティがなければ、実存的な危機に陥った人々は、結果的に新興宗教やマルチ商法といったつながりを現実的な選択肢と捉えるようになるのである。何も不思議な話ではない。
近年では、孤独死を避けるため新興宗教と関わりを持とうとする者さえいるほどである。
オンラインサロンの本質は
新興宗教と何も変わらない
近年のオンラインサロンの興隆、コロナ禍の陰謀論者の増加と連帯は、その広範な現象の一部といえるだろう。
以前、宗教専門誌の『宗教問題』からオンラインサロンの宗教性について論じてもらえないだろうかという一風変わった原稿依頼を頂いたことがあった。その際に示したポイントは、これまで新宗教が提供してきた現世救済的な機能とオンラインサロンの機能が非常によく似ていることであった。
教団の教えが現世で幸せになるための指針を提供し、人間としての成長や社会的な成功をもたらすものと受け止められていたからである。そして、教団のコミュニティが都市化の波によって根無し草になっていた人々の「拠り所」となっていった点も似通っていた。
カリスマ的な人物が率いている部分においても両者は一致している(注2)。
例えば、お笑い芸人キングコングの西野亮廣が主宰する「西野亮廣エンタメ研究所」は、「西野が考えるエンタメの未来や、現在手がけているプロジェクトを、まだ公開できない構想の段階から共有する、会員制オンラインサロン」と銘打っている。
メンバーは、「西野さんのサロンは『職業から離れた素の自分になれる場所』です。仕事も年齢も関係なく、とにかく居心地が良いんです」という。「これまで浅い付き合いだった知り合いも、サロンメンバーだと分かるとこれまでと違った深い関係性になれる、なんてこともありました」と。
(注2)真鍋 厚「オンラインサロンは新時代の宗教か」、『宗教問題 大特集 ネットが宗教を食い荒らす!』(Vol.36 2021年秋季号、合同会社宗教問題)所収。







