「西野サロンが人生を変えた」と話す者も少なくない(注3)。オフ会も多く、飲み会やフットサル大会など、様々なイベントが企画されている。

 また、「何年もサロンメンバーをしていると、メンバーの変化や成長を見守る楽しさがあるんですよ。結婚したとか子どもが生まれたとか起業したとか、いつまでも新しい体験ができるんです」という声は、共通の関心事項をベースに、長期的な人間関係が構築される古式ゆかしい村社会と大して違わない。

 異なるのは「地縁」か「選択縁」かということぐらいだろう。

急速に拡大した陰謀論
そこに存在する「選択縁」

 このような「選択縁」は、コロナ禍を通じて急速に拡大した陰謀論のネットワークにも当てはまる。

 作家のユアン・モリソンは、陰謀論とともに人生を歩んだ実父について、「陰謀論を信じることは、父にアイデンティティと人生の目標を与え、混乱した出来事を解釈する唯一の方法を与え、深い仲間意識を持たせることになった」と述べている。

 彼の父親は、イギリスがスコットランドを支配しようと陰謀を張りめぐらしていると信じ、自分のような過激な分離主義者は当局から監視され、仕事からも排除されかねないと気を揉んでいた。その心理的背景には威信の失墜があったとみている。

「長年、万能のイギリス国家という世界観のもとで生活してきた彼は、敗北感を感じていた」と(注4)。

(注3)株式会社CHIMNEY TOWN“【西野亮廣と200人BBQ開催レポート】西野亮廣エンタメ研究所メンバーに聞いた、オンラインサロンの楽しみ方”PR TIMES STORY(2023年6月1日)https://prtimes.jp/story/detail/xWgoz8fgW6x
(注4)Ewan Morrison“The Unexpected Benefits of Conspiracy Theories”Psychology Today (2021年2月18日)https://www.psychologytoday.com/intl/blog/word-less/202102/the-unexpected-benefits-of-conspiracy-theories