この年齢よりも若ければ推奨睡眠時間は長くなり、年老いていれば推奨睡眠時間は短くなります。

 たとえば、14歳から17歳の推奨睡眠時間は、8~10時間です。上限は11時間、7時間だと少なすぎると提唱されています。

 6時間睡眠が絶対に異常というわけではありませんが、決して「正常」とは言えません。

 6時間睡眠が続くと脳の働きに大きな支障が出るという実験結果もあります。アメリカのペンシルベニア大学の研究では、6時間睡眠が2週間続くと、脳の反応速度や注意力が2晩徹夜したときと同じくらいまで衰えることが確認されています。

 それでも本人は「まだ平気」と感じてしまうのが恐ろしいところです。

成長期の子どもは
8時間睡眠でも足りないくらい

 さらに、成長期のお子さんにとっては、8時間睡眠でも足りないことが少なくありません。

「うちの子(小学校低学年)は10時間も寝てまだ眠そうにしているのですが、病気でしょうか?」

 と私のクリニックに相談に来られた親御さんがいました。

 親として心配になるのは無理もないことですが、これも睡眠についての知識が少ないことが原因になっている場合が多いです。

「ご心配ですよね。ただ、小学生では10時間睡眠は実は正常で、決して病気というわけではありませんよ。むしろ寝不足のこともあるので、もっと寝かせてみませんか?」

 と、私はお答えしました。

 前述の米国睡眠財団が発表したデータでは、小学生は9~11時間、中高生は8~10時間が適正睡眠時間としています。つまり、長く寝ることは成長期にはごく自然なことであり、むしろ心身の育成に欠かせない重要事項なのです。

 日本の子どもたちは、小学校高学年ごろから、すでに睡眠不足が始まっていると言われています。

 大切な成長期に十分な睡眠がとれないことは、成長ホルモンの分泌や脳の発達にも影響を与える可能性があり、決して見過ごせません。

 私たち大人が睡眠をおろそかにしていると、その姿を見て育つ子どもたちも同じように眠りを軽視してしまいます。

 子どもたちが本来持っている力を存分に発揮できるようにするためにも、まずは大人が睡眠の大切さを理解し、日々の生活の中で「眠ること」をもっと大事にしていきたいものです。