よく親御さんが「答えを覚えてしまう」とおっしゃるんですが、いいじゃないですか。解けるようになっているのだから。過去問の答えを覚えて正解になってしまうから意味がないともいわれますが、そもそも小学生が同じ問題を解いて満点が取れるかといったら、中々できません。繰り返し解けない問題は「苦手なパターン」なので、重点的に対策すべき点もわかります。
――今現在、1月校受験、午後受験なども入れた併願校受験も含めるとひとり8校くらいは願書を書いていると聞きますが、過去問は併願校も全部、やらないといけませんか?
第一志望の学校をしっかり一生懸命やるっていうのが、やっぱり一番大事なことです。全部やれたらいいのかもしれませんが、それは子どもにとってあまりに酷です。申し上げてきたように、今は4教科どれを取っても教育の本質を見るような問題になっています。
けれども、それを全部やる必要もないし、時間もそんなにありませんからね。基本はやっぱり1番に入りたいところを徹底的に取り組むのがいいと思います。
一昔前の中学受験では「過去問は3周しましょう」と言われたものですが、今は塾のカリキュラムが詰め込まれている状態なので忙しいとは思います。しかし、最低でも2周はしてほしいです。
ただ、2周目も真正面からすべての問題を解く必要はありません。おすすめの方法は間違った問題に付箋を付けるやり方です。間違った問題、または理解があやふやでもう1回やりたい問題に付箋を付けておく。2周目をやるときは間違った問題のみを解く。正解したら付箋を取る。
ここで大事なことは、付箋を取ってしまったら、もう戻らないこと。「もうこの問題は大丈夫!」と思ったら、付箋を外します。だから、緊張感が生まれるんです。当然、貼られたままの付箋もあるでしょう。そこで3周目をやってみる。それで、3周目もやって、それでも解けなかったら諦めてください。 付箋はもう取っちゃっていいです。
いつも言ってるんですけど、結局、合格最低点は6割に満たない学校のほうが多くて、つまり、3問に1問は解けなくて全然いいんですよ。みんなが正答するであろう問題を落とさない。そして、得意なところで得点を稼ぐ。みんなが解けないような問題とか、自分が苦手とする分野で入試日までに間に合わなかったところについては仕方がないと割り切ることです。
――次回は「中学受験を成功に導く家庭の習慣」について教えていただきます。







