普段よく行くところなのに、ドライバーが店名を忘れるはずがない。しかも、挙動がおかしい。これにより、大使に尾行をつけることになった。

話し方のリズムや間も
うそを見抜くヒントとなる

 某国の情報提供者が、よい情報があると連絡してきた。

勝丸:このコピー、A国の裏の職員名簿だと言っていたね。入手経路をもう少し詳しく教えてもらえる?

情報提供者:(少し間を置いて)ええ……事務官に知り合いがいて、彼がこっそりくれたのです。

勝丸:(穏やかに)事務官の誰?

情報提供者:(目を伏せながら)名前は……ちょっと言えません。彼の立場が危うくなるので。

勝丸:(間を置かず)立場を守るのは当然だ。ただ、信憑性を確認するには最低限の情報が必要だ。彼のランクは?

情報提供者:(急に早口になる)三等書記官です。

勝丸:(資料を見ながら)この名簿、A国のいつものフォーマットと違うようだね。

情報提供者:(顔がこわばる)……それは、まだたたき台の段階だからです。

勝丸:(静かに)たたき台なのにハンコが押してあるのは変だね。

情報提供者:……。

 この情報提供者は、情報料欲しさにうその情報をつかまそうとしていたのだった。

うそが露呈しても
怒るのは得策ではない

 明らかなうそはともかく、重大な問題で相手の発言や情報が『うそかもしれない』と疑問に思ったら、まずは「事実確認」が先決だ。

 同じ趣旨の質問を別の言い回しで会話の中に織り込み、反応や言葉の揺らぎを観察するか、会話後に複数のルートで裏取りするなどして、相手の発言や情報の整合性を確かめる必要がある。

 そして、うそだとわかった後の対応が肝心だ。

 よく、相手のうそに気づいたとたんに、感情が爆発して相手を非難したり追いつめたりする人がいるが、あまりよい反応とはいえない。もちろん、その場で怒ったほうがよい場合は多い。

 しかし、複雑な問題がある場合などではその限りではない。怒ることで相手の心と口を閉ざすことは、得策ではないからだ。