いい意味で「ディーゼルらしくない」走り
ナビをセットする。世田谷の路地から首都高4号新宿線。中央道。河口湖線。高速を降りたら、最後にワインディングが待っている。SUVの試乗としてはまさに教科書ルートである。
狭く入り組んだ世田谷の路地で分かるのは、X3の20dが「ディーゼルの顔」をしていないことだ。出足にカッタルさがない。アクセルを踏み込むと、身軽にヒョイと走り出す。信号だらけの都内でも“待たされる感”が薄い。
ディーゼルは本来、得意の回転域に入った途端にうまみが染み出るものだが、新型X3の20dはその前段を上手い具合に消している。ディーゼルの弱点を潰して「普通に気持ちいいクルマ」に仕上げている。
首都高4号の合流で踏み込むと、今度はディーゼル“らしさ”が美点として現れる。
トルクが厚い。気合不要で合流ができる。的場のアニキは助手席で舟を漕いでいる。X3の上質な乗り心地(と不肖フェルの丁寧な運転)のおかげである。うるさいクルマ、ギクシャクするクルマに、的場のアニキは容赦がないのだ。
高速巡航で光る素直さ、万人向けの乗りやすさ
中央道を巡航する。高速域ではことのほか落ち着いている。ロードノイズは角が取れ、風切り音も抑えられている。ガラガラと音のするBMWのディーゼル音も「消した」というより「いやにならない音質に整えられた」印象だ。回転を上げても、微妙なザラつき感が消されている。この“邪魔をしない能力”が、「BMWの大黒柱としてのX3」の資質そのものではあるまいか。
一方で、ハンドリング。反応は素直だ。直進安定性もある。だが、手応えが少し薄味になった。昔のBMWにあった「路面の情報を指先で拾う感じ」や「芯のある重み」が後退し、何というか、少しダルになった印象だ。ハンドリング勝負のBMWに何が起きたのか……。無論これは劣化ではなく、明確な意図なのだろう。
X3は「誰が乗っても大丈夫」な方向に寄せてきたのだ。「BMWらしさ」を手応えで期待する人には多少の物足りなさが残るだろう。ここは好みの問題だ。







