これからの採用活動で、企業側に必要なことは…

 大手企業も中堅・中小企業も採用意欲は旺盛だが、「内定の歩留まりが読みにくい」「応募母集団の形成がうまくいかない」「学生の意識・ホンネが読めない」といった悩みが相変わらず聞かれる。特に、内定(内々定)を出した学生のフォローや辞退防止のために、企業側は、何を行えばよいのだろう?

▲多くの企業が利用している「フレッシャーズ・コース2026」も、入社前後の新入社員の必須アイテムだ。▲多くの企業が利用している「フレッシャーズ・コース2026」も、入社前後の新入社員の必須アイテムだ。

高村 まず、内々定(内定)を出す前のテクニカルなところで言えば、学生との接点を増やすことが欠かせません。半日のワークショップでもいいので、何らかのプログラムを設けて、参加者を募るべきです。そして、接触できた学生に自社をよく知ってもらい、関心をもってもらうよう働きかけること。学生が入社を決めた理由として、例年、「社風が良い」「仕事に魅力を感じる」の2つがトップにきますが、「先輩・社員が魅力的だった」「人事担当者が魅力的だった」「働くイメージがわいた」といったことも上位に挙げられています。会社概要を当たり障りなく伝えるのではなく、人事に限らず、社員総出で学生に対応するくらいの熱量があれば、「選考を受けてもいいかな」と思う学生が出てくると思います。

 内々定(内定)を出した後のフォローは、懇親会が人気です。よくあるのは、内定式の前に1回、内定式の時、内定式の後(入社前)に2回で、「合計4回」というパターンです。名目は懇親会ですが、具体的な中身は研修であったり、先輩社員がざっくばらんに質問に答えたり……各企業で、内容をいろいろ工夫しています。何らかのツール(*2)を使うことも効果的なようです。

*2 社会に出るためのマインドセットがなされる「フレッシャーズ・コース2026」やZ世代のための「内定者フォローワークショップ」などがある。

 中小企業こそ、学生との接点を増やすことが採用の鍵を握る。ある大手流通企業は、かつて中堅クラスだった頃、エントリーシートを送ってくれた就活生に対して「お祈り(不採用)メール」を返す際に、人事担当者が「○○を□□するといいですよ」といったアドバイスを添えるようにした。すると、学生の間で評判になり、地元の就職人気ランキングで上位に入るようになった。また、別の中小企業は会社説明会において、自社のことはいっさい話さず、経営トップ自らが、「働くとはどういうことか? 就職活動にどう臨むべきか?」を熱く語るようにしている。応募してくる学生は、内定(内々定)を出すと、ほぼそのまま入社するという。

高村 日本でも、近年、経営戦略を実現するため、人材の採用・育成・配置などに中長期的な視点で取り組む「戦略的人事」が注目されています。鍵を握るのは、経営トップの意識です。特に、中小・中堅クラスでは新卒採用に対する経営トップのコミットメントが、今後、いっそう重要になるはずです。