児童の場合、学業不振といった徴候が出るはずですが、ひょっとすると「指導において困難な子ども」として扱われているかもしれません。

 軽度知的障害ですら見逃されている可能性がある状況下では、現在の学校教育において境界知能児の認知や支援はますます困難であるといえるでしょう。

IQが70を少し超えただけで
適切な支援を受けられなかった

 かつて某テレビ番組で境界知能の方の苦労が取り上げられていました。

 その方(Bさん)は50代後半で、これまで何もかもうまくいかなかったというのです。小学校もついていけず、仕事も結婚生活も長く続かなかったといいます。

 30代に病院で検査を受けたところIQが70台前半で境界知能でした。しかし、IQが70以上あるということで療育手帳を得ることができなかったのです。

 ある会社の採用担当者からは、「障害者だったら受け入れられたが、そうじゃないので雇用することは厳しい」といわれたそうです。

 例えば、IQが68と72ですと数値は“4”違いますが、症状はほぼ同じです。またIQ検査には誤差があります。なのに、たまたま検査でIQが70を少し超えたから、「境界知能」であっても「障害」でないので配慮はできません、というのです。

 Bさんは、何度教えられても仕事を覚えることができない、ミスが目立つ、ということで周囲からの冷たい視線に耐えられず幾度も転職を余儀なくされました。

 Bさんは、一生懸命仕事をしても障害がないから駄目だといわれ、苦しんでいたのです。

物覚えが悪すぎて
仕事もままならない

 他にもこのような女性(Cさん)がおられました。

 小学生の頃から物覚えが悪く、人付き合いも苦手でした。医療事務として何とか働いていましたが、最初は仕事を覚えるのが大変で、周囲の同僚や先生が辛抱強く支えてくれているお陰で何とか続いているとのことでした。

 しかし本人は他の人ができることを時間がかかってもできるようになりたい、と日々悩んでおられました。