最近になって、過去の人間関係のことを思い出して辛くなったので精神科クリニックを受診したところ、知能検査を受けることになり、境界知能であることが判明したそうです。

 本人は、その事実を受け止めながらも、やはりいくら周囲の支えが必要であっても、自分も他の人と同じようにできるようになりたい、と言っておられました。

 Cさんのように修学期間から勉強や人付き合いが苦手で、就労してから仕事が覚えられないなどの理由で苦労される人たちは多いように思われます。

 これは仕事を教える側からもしばしば聞きます。ある食品販売店の正社員の方が、パートで入ってきた人に開店前の掃除の手順を教えました。掃除の順番は上から下に、そしてお客さんを迎えるカウンターは最後に拭くと教えたのです。上の棚にある埃をはたいて下に落としていき、最後に床に集める、カウンターにも埃が付くので最後にカウンターを拭く。そう理由も伝えながら教えたそうです。

 すると、そのパートの人は要領がよさそうに「分かりました」と答え、さっそく掃除に取り掛かったのですが、なんと最初にカウンターを拭き始めたのです。

「え?」

 正社員の方は驚きました。今、「カウンターは最後に拭く」と言ったばかりなのに。

 そのとき、次のように思ったそうです。何でも「はい」「はい」と聞いて理解していそうに見える人は実は理解していないかもしれない。それからは、本当に理解しているかを本人に言わせてみることにしたというのです。

 これまでご紹介したケースの方々はいずれも小学校での勉強についていけなかったということが共通していました。つまり小学校からサインが出ているのです。