2つめが、自分と違う信仰・信条を持つ人たちへの理解が深まることです。国際ビジネスを経験した人たちは、口を揃えて「世界各国の文化や宗教的な風習を理解することは、より効果的にビジネスを展開することにつながる」といいます。
例えば自身に神社や寺院に行く習慣があれば、教会やモスクに行く人たちの習慣についてもよりよく理解することができるでしょう。
3つめが、リーダーとして不可欠な大局観を身につけられることです。ハーバードビジネススクールでは、「リーダーは部下の意見を傾聴せよ」「周りの人々の尊厳を尊重せよ」「コミュニティへの影響を考慮せよ」といったことを教えていますが、スピリチュアリティや宗教などの視点からリーダーシップを学べば、なぜそうすることが大切なのかをより大きな視点から理解することができます。
そして4つめが謙譲の精神の醸成です。同じくハーバードビジネススクールの授業では「知らないことは知らないと素直に認めよ」「多くの人々の意見を聞いてから決断せよ」といったことを教えていますが、「人知を超えた大きな存在」の視点からリーダーシップを学べば、自然と謙譲の精神を身につけられます。
「私が信じる宗教ではこうなので」はだめ
気をつけるべきこと
佐藤 日本企業の管理職がより優れたリーダーになるためには、スピリチュアリティ・宗教・信条や、それらに由来する慣習・行事をどのように生かせばよいでしょうか。
シェ 私の専門は企業倫理ですので、「こうすれば『仕事運』や『出世運』が上がる」といった具体的なアドバイスはできませんが、ハーバードビジネススクールで教えている倫理的リーダーシップや経営者の責任の観点から助言をしたいと思います。
私たち教員はMBAプログラムの必修科目「リーダーシップと企業の説明責任」の授業で、「リーダーには3つの責任(経済的責任、法的責任、倫理的責任)があり、リーダーはこの3つの責任を全て果たせるような決断をしなければならない」と教えています。
ところがいざ決断をする際、この3つの観点から分析をしてみても、予測不能なことがあったり、他の選択肢が出てきたりして、本当に正しい決断なのか、迷うことが多々あるわけです。
こうしたときに最後の拠り所になるのが、リーダー個人の信仰・信条です。神道であれ、仏教であれ、自身が信じてきた教えは、難しい決断を下す上で、重要な指針となります。
また、オーセンティック・リーダーシップの観点からも、コアバリュー(スピリチュアリティ・宗教・信条)に立ち返るのは不可欠なことです。自分は何のためにリーダーとして仕事をするのか。昇進するためなのか、お金を稼ぐためなのか。それだけではないはずです。究極的には自分の信念を実現するためでしょう。
さらに、スピリチュアリティの実践は若手社員とのコミュニケーションを円滑化にもつながります。私は普段、20~30代の学生を教えていますが、現代の若者はスピリチュアリティに驚くほど興味を持っています。若手社員とともに神社に行ったり、会社の行事に参加してみたりするのもよいのではないでしょうか。







