(4)評価・円換算を少なく申告していないか
海外資産は「申告しているのに金額が違う」ことでも問題になり得る。外貨建て資産の円換算の前提(どの時点の為替を使うか)、外国株式の評価、未収の配当・利子の扱いなど、国内資産と同じ感覚で処理できないことが多い。結果として、過少評価や計上漏れが起きていないかが確認される。
(5)説明できる資料が揃っているか
最後に問われるのは、申告書に記載した内容を資料で説明できるかだ。残高証明、取引明細、評価の根拠、為替の前提、資金の出どころを示す資料などが揃っていないと、申告内容の信頼性が下がりやすい。海外金融機関の書類は取得に時間を要することもあるため、期限対応の中で“後で整えるつもりだった”が通じにくい点は意識しておきたい。
海外資産の相続で失敗しないために
今からできる対策とは?
ここまで見てきたとおり、海外資産の相続をスムーズに行えるかは、相続時に“漏れなく・根拠付きで・説明可能な形”に整理できるかにある。対策の要点は「海外資産のリスト化」「証拠(根拠)」「期限逆算」の3つに集約される。
(1)海外資産のリストを“家族がわかる形”で残す
相続で最初に詰まるのは、結局「どこに何があるか」だ。そこで、生前のうちに最低限、次の項目を一覧にしておきたい。
・金融機関名(銀行・証券)/国・地域
・口座の種類(預金・証券など)
・口座番号
・ログイン方法
・年1回の残高の“目安”(スクショ・ステートメントの保存先)
これらの「見取り図」があるだけで、資産の洗い出し漏れや海外側の書類収集の遅れを大幅に減らせる。
(2)「資金の出入り」と「金額の根拠」をセットで説明できるようにする
海外資産で揉めやすいのは、「どうしてその残高・評価になるのか」を後から説明できないケースだ。そこで、年単位で次をまとめておきたい。
・海外口座の年次ステートメント(残高推移が追えるもの)
・売買報告書・配当(利子)などの入金記録
・円換算や評価の前提が分かる資料(どの時点の為替・価格を使ったか)







