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個人投資家による海外投資は、新NISAの開始をきっかけに急速に広がっている。一方、国税庁が昨年12月に公表した「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」からは、海外資産を含む相続への調査が強化されている実態が見えてくる。「海外資産なら簡単には把握されない」。そんな認識は、もはや通用しない時代だ。海外資産の保有が身近になった今こそ、将来の相続で失敗しないために、今から対策できることを整理する。(税理士・岡野相続税理士法人 代表社員 岡野雄志)
海外資産をめぐる税務調査は
なぜ強化されているのか
前出の国税庁の資料で、相続税調査において「海外取引や海外資産の保有状況の把握に努めている」と明記されており、海外資産を含む相続が注目されていることが窺える。実際、海外資産関連の実地調査件数は、前年比143.5%と大幅に増加しており、海外資産が税務調査の重要な対象となっていることは明らかだ。
その背景としてまず挙げられるのが、海外投資そのものが一部の富裕層に限られたものではなくなった点だ。新NISAの導入などを受け、一般の個人投資家が米国株や海外ETFに投資することは珍しくなくなった。結果として、相続財産の中に海外資産が含まれるケースが増え、調査対象としての比重も高まっていると考えられる。
誰もが海外投資を手軽に始められるようになったからこそ、相続時の税務リスクを「事後」ではなく「事前」に捉える視点が求められている。
故人の海外資産を把握する
国税庁の包囲網
海外口座や海外証券は「国内からはわかりにくい」と思われがちだが、国税庁は、CRS(共通報告基準)をはじめとした租税条約などに基づく情報交換制度を活用するなど、複数の情報ルートを組み合わせて資産の把握を行っている。
CRSとは、経済協力開発機構(OECD)が策定した国際的なルールで、世界100カ国以上の国や地域の金融機関にある非居住者の口座情報について、税務当局間で情報交換する仕組みだ。
これにより、海外の金融機関にある口座残高や利子・配当の受取状況などが、日本の税務当局にも提供される場合がある。一方でCRSは海外にあるすべての口座を把握できる制度ではない。たとえばアメリカはCRSに参加していないため、別の方法で情報交換が行われている。







