加えて、海外投資では送金が絡みやすい。国外への送金・国外からの受領のうち100万円を超えるものは金融機関から税務当局へ報告される仕組み(国外送金等調書)があるため、相続時に「何のための送金か」「どの口座・資産に紐づくか」を説明できないと確認作業が長引きやすい。送金控えに「目的メモ(どの証券口座への入金かなど)」を残しておくと、相続人の整理が一気に楽になる

(3)「国外財産調書」を出しているか、対象かを点検する

 もし本人が一定規模以上の国外財産を保有しているなら、国外財産調書の提出義務が生じる(非永住者などを除く)。相続税対策そのものではないが、提出している(または提出対象かを把握している)と、相続時の資産のリスト化をする際に精度が上がりやすい。

(4)相続発生後は「10カ月」から逆算して、海外書類を最優先で動かす

 相続税申告は原則として死亡の翌日から10カ月以内だ。海外金融機関の残高証明や手続きは時間がかかりやすいので、相続が発生したら、国内資産の整理と並行して海外側の書類請求を最優先に動かすのが現実的である。

(5)迷ったら「論点の切り分け」だけ先に専門家へ相談する

 専門家に相談するときにまず確認すべきは次の3点だ。

・資産は「相続財産に入るか」(名義と実質の整理)
・その金額は「どう評価するか」(時価・換算・未収収益)
・申告までに「何の資料が必要か」(海外側の取得難度を含む)

 これら3点だけでも早期に固まると、相続人側の作業が一気に前に進む。

 海外資産は「海外だからわからない」は通用しない。税務署に把握・照合される前提で備える時代になった。だからこそ、生前の資産のリスト化と資料整理、そして期限から逆算した段取りが、将来の追徴リスクを大きく下げる。早めに手を打ち、相続人の負担を最小限にしたい。