街にもキャンプ場にも似合うデザイン

 と、その前に。クルマの周囲を一回り。

 デリカミニは見た目からして「私は普通のスーパーハイトではない」と強く主張している。愛嬌ではなく、道具感を漂わせた顔つきだ。

 フロントは縦基調の強い表情と厚みのあるバンパー、そしてもちろん「デリ丸。」の目。軽のフロントマスクは工夫をしないとすぐにオモチャっぽくなる。デリカミニはこの辺りのデザインが実に巧みで、ムダに威張りすぎず、一方で「このまま山に行けますよ」という空気を確実に出している。街中で浮いてしまうことはない。それでいてキャンプサイトにはしっくりくる、似合う。この“賢い二面性”こそがデリカミニのデザインの真骨頂だ。

デリ丸。(のぬいぐるみ)デリ丸。(のぬいぐるみ) Photo by F.Y.

 クルマの横に回る。スーパーハイトの宿命である“背の高さ”を、可能な限り“強さ”と“たくましさ”に変換して見せようと工夫しているのが分かる。ガラスエリアが大きく、ルーフは高い。一方で下半身の黒い樹脂パーツとフェンダー周りの処理を効かせている。上が大きい分、下を太く見せないとバランスが取れないからだ。

 今回試乗するのは4駆仕様車。兄弟車の中では、デリカミニの4駆だけが15インチの大径ホイールを履いている。4駆は15インチの大径タイヤ(165/60R15)、FFは14インチ(155/65R14)。タイヤの外径は4駆仕様車の方が22mmも大きい。最低地上高はその半分で11mm。これだけ高くなる。カタログ上ではデリカミニの4WDは最低地上高がFFより10mm高い160mmと表記されている。これは単純に履いているタイヤの差だ。

 リアに回る。ここは派手さより「実用の顔」になる。荷室の開口は大きい。スライドドアのクルマらしく四角い後ろ姿だ。だがそこはデリカミニ。「四角いだけ」で終わらせない。リアバンパー周りの造形や樹脂パーツの“厚み”で、アウトドアの道具っぽさを表現している。ルークスやeKスペースが「街の道具」だとすれば、デリカミニは「山の道具」。中身は一緒でも見た目は大きく違う。

新型デリカミニ新型デリカミニ Photo by F.Y.

 外観から見えてくるのは、新型のデリカミニが小手先の変更で成立しているのではなく、軽のスーパーハイトを、「アウトドアに連れ出せる道具にする」という概念に、より明確に刻み直した、ということだ。