弁護士費用を払っても
プラスになるカラクリ

 たとえば事故後、約半年間通院したけれど首にむちうち症が残った場合。これは一般的には後遺障害14級に認定されます。14級の場合、大阪地方裁判所ですと一律に後遺障害を負ってしまった慰謝料として110万円と決まっています。

 ですから私が保険会社に対して「14級ですから110万円ですよね」と最初から裁判基準額を提示して交渉すると、保険会社も弁護士が関わると知ると最初から「110万円お支払いします」と言ってするっと払ってくれます。

 これは自賠責保険から75万円賠償され、任意保険から差額の35万円が支払われます(もっと正確に言うと、保険会社は110万円支払った後、求償権を行使して自賠責保険から75万円を支払ってもらえるので、実質、保険会社が払うのは差額の35万円のみです)。

 ところが前に述べたように、保険会社によっては被害者に対して、「この度は大変でした。でも当社がお支払いしますので大丈夫です」と言って、「当社基準」というマジックワードを使い、「14級の場合は当社基準ですと75万円の賠償額です」としれっと言って、裁判基準というものの存在を説明しないことがあります。

 そうすると法律の知識に乏しい被害者は75万円で示談のはんこを押します。これは全部自賠責保険からの賠償なので保険会社の懐は1円も痛みません。

「裁判を起こしたら、その差額は弁護士費用でプラマイされるんやないか」と思う人がいるかもしれませんが、私の場合(あくまでも事件によって異なりますが)、75万円は依頼人のもともとの権利として、私が仕事をしてプラスされた35万円分を経済的利益として、成功報酬16%の5万6000円、消費税を入れて6万1600円をいただきます。

 もし、着手金を10万円頂戴していたとしたら、依頼者は110万円から16万1600円を控除した93万8400円を受け取れるのです。

 弁護士をつけずに75万円受領するより相当得だということはご理解いただけるでしょう。これは一番等級が低い14級の例ですから、等級が高くなるにつれて差額はどんどん拡大します。

 これが交通事故に遭ったら、弁護士に依頼したほうが得という理由です。