相続税対策では資産を「4つに色分け」せよ!基本戦略から目的別ポートフォリオの組み方まで“虎の巻”を徹底指南Photo:PIXTA

世は「大相続時代」――。とりわけ東京都では、死亡者のおよそ4人に1人が相続税の申告対象で、資産家はもちろん一般的な世帯であっても相続は避けて通れない喫緊の課題になっている。ところが、その対策を講じていない、偏った資産構成により、「争族」へと発展する事例が増えている。連載『富裕層必見! 資産防衛&節税術』の第3回では、知っているようで知らない、相続税対策における目的別のポートフォリオの最適な組み方を指南する。(税理士法人チェスター東京本店代表 河合 厚)

資産を4種に「色分け」して
それぞれの目的を明確にしよう

 日本は今後20年以上にわたり毎年140万人から170万人近い相続が発生する、「大相続時代」に突入している。特に東京都においては、死亡者の約4人に1人が相続税の申告対象となっており、資産家のみならず一般的な世帯にとっても、相続は避けて通れない喫緊の課題である。何ら対策を講じず偏った資産構成により、遺産分割協議が調わず「争族」へと発展する事例が増加傾向にある。

 特筆すべきは、遺産分割調停の約8割が遺産総額5000万円以下の層で発生している点であり、これは資産規模にかかわらず適切なポートフォリオ管理が欠如していることを示唆している。

 また、認知症の有病率は2022年時点の推計において、85~89歳の層では約36.6%、90歳以上では約55.1%とされる。これは、人生100年時代において90歳を超える長寿を全うする場合、2人に1人が認知症を発症するという現実を示唆している。

 これからの人生を、さらに有意義にし、生きがいを持ち、充実した日々を送っていくためには、現状の資産保有状況を正確に把握し、あるべき姿へとポートフォリオを組み替えるプロセスが不可欠である。この場合、所有資産を「消費」「運用」「贈与」「相続(残す)」の四つのカテゴリーで「色分け」し、それぞれの目的を明確化する視点が必要である。

 資産管理の盲点は、全ての資産を漫然と保有し続けることである。資産にはそれぞれ役割を持たせるべきである。次ページでは、まず、この四つの「色分け」ごとに、その目的に合った具体的な資産を示し、さらに「四つの柱」から成る効果的な相続対策と、相続対策の目的別ポートフォリオの組み方を具体的に紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。