クライアントの仕事を奪う
それは、ぼくらにタスクを依頼した人です。会社同士で考えれば取引先企業ですし、部署単位で考えれば「相手の部署」、個々人で考えれば「上司・チームメンバー」です。
そして本書では、これらのタスクを依頼してきた人をまとめて「クライアント」と呼びます。
取引先企業もクライアントですし、上司もクライアントです。仮にそれが同じ部署の後輩であっても、一緒に仕事を進めているのであれば「クライアント」です。
結論として、仕事ができる人は「クライアントの脳内ストレスを軽減させ、仕事を奪い、負荷を減らせる人」です。
ぼくが接してきた仕事ができる人は、みんなそれを理解していました。
「頭がいいから仕事ができる」ではない理由
先ほどのHさんは、ぼくら若手メンバーがやるべき仕事を「奪って(手伝って)」、ぼくらの負荷を減らしていました。ぼくらが依頼したわけではありませんが、Hさんが状況を察して「負荷を減らしに来てくれた」わけです。
だからぼくらが「Hさん、すごい……。頼りになる」と感じたわけです。
そしてHさんは、彼の上司が本来考えるべきタスクも自ら率先して巻き取り、実施していました。だから上司や部署全体から「彼は仕事ができる」と評価されていたのです。
Hさんは抜群に頭がいい人でした。ですが、頭がいいからHさんを「仕事ができる人」と思っていたわけではないと思います。
Hさんがいるおかげで、いろんな人たちの負荷が減って助かるから「すごい」んです。
すごく頭がよくても、パワハラ、モラハラなどをしてまわりの負荷(ストレス・余計なタスク)を増やしている人もいます。
その人たちは「仕事ができる人」とは評価されません。
あくまでも、自分の能力を「相手の負荷を減らすこと」に使っている人、そして負荷を減らせている人が「仕事ができる人」です。
もちろんHさんもチームメンバーに仕事を振ることはあります。
しかしそれは自分の負荷を減らすためではなく、チーム全体として誰か他の人の負荷を減らすためにしていることなんです。
「仕事が早い人=優秀」というイメージがあるのは、その人が早く仕事を終わらせることで、周囲が助かるからです。
その人が早く帰れるからではなく、その人がタスクを早く仕上げることで、周囲がよりスムーズに仕事を進められるからです。
逆に「仕事が遅い人」が嫌がられるのは、その人が終わるまでまわりが待っていなければいけないから、まわりの負担が増えるから、なのです。







