CEOや経営幹部に限らず、一般社員に至るまで、多くのメンバーが成功に貢献したと見なされたのです。

 一方で、チームが敗北(失敗)した際には、その責任を特定の少数、特にリーダーや経営幹部といった立場の人に限定して帰属させる傾向が見られました。

 なぜ、このような心理的な傾向が生まれるのでしょうか。研究チームは、叱責や責任追及には、人間関係の悪化や協力体制の崩壊といった高い「社会的コスト」がともなうためだと指摘します。

 失敗の責任を不必要に広げることは、チームの士気を下げ、分裂を招きかねません。そのため、私たちは無意識のうちに責任の範囲を限定し、チームへのダメージを最小限に食い止めようとします。

 逆に、成功の喜びは分かち合いやすく、多くの人を巻き込むことで連帯感を強める効果があります。

成功したときはみんなをホメて
失敗は学びの機会へと転換

 この人間の心理的傾向を戦略的に活用することこそ、チームが失敗を乗り越え、より強くなるための鍵となります。それが「広くホメ、狭く叱る」というアプローチです。

「広くホメる」とは、プロジェクトが成功した際に、中心人物だけでなく、サポートに回ったメンバー、情報提供をしてくれた他部署の担当者など、成功に関わったすべての人々の貢献をできる限り見つけ出し、称賛することを意味します。

 これによって、個々のメンバーは「自分の仕事がチームの成功につながっている」と実感でき、貢献意欲が高まります。チーム全体としても「互いに助け合う文化」が育まれ、ポジティブな雰囲気が醸成されるでしょう。

 一方の「狭く叱る」とは、失敗が起きた際に、感情的に特定の「スケープゴート」を探し出すことではありません。誰か一個人の人格を否定したり、チーム全体に連帯責任を負わせたりするのではなく、失敗の原因となった「事実」や「行動」に焦点を当て、責任の範囲を慎重に特定することを指します。