「できるわけがないし、する必要もない」
予想通りの答えだった。
意固地と頑固を貫き通す
広岡のプロフェッショナリズム
愛娘の祥子さん(編集部注/広岡氏の3人の子どもの真ん中にあたる長女)が口にした「父は円満退社のできない人」というフレーズが改めて頭をよぎる。
――選手たちに話を聞くと、「少しは休みがほしかった」「オフの楽しみを満喫したかった」という声がたくさんありました。この点については、どう思いますか?
「それでプロと言えると思うかい?」
これもまた、想像通りの返答だった。広岡のプロフェッショナリズムからすれば、選手たちの要望はまったく受け入れがたいものだった。この点について広岡は今でも、「私のやり方は間違っていなかった」と考えている。
否定的に見れば、それは意固地であり、頑固であり、柔軟性に欠ける考え方かもしれない。しかし、それらのものを徹底的に排して自らの信念を貫き通す。プロとしてまっとうする。それが広岡だ。それが彼の生きる姿勢であり、人生の指針であり、哲学でもある。
『正しすぎた人 広岡達朗がスワローズで見た夢』(長谷川晶一、文藝春秋)
――不完全燃焼のままスワローズを去ってしまったことについて、今はどのように感じていますか?この問いに対して、広岡は決然として言った。
「不完全燃焼ではない。私は自分のできることはすべてやった。それがあの年の日本一という結果に結びついた。やれることはすべてやり切ったと言ってもいい。まだまだやるべきこと、できることはあったよ。でも、あれがあのときの私の最善だった。そして日本一になることができた。不完全燃焼じゃない、完全燃焼だよ」







