一流のマネージャーは
伸びる人をアサインする

 マネージャーの重要な役割の1つに、仕事のアサインメント(割り振り)があります。実は、このアサインメントには2つの種類があります。

 1つはどの仕事を誰にさせるか。これは多くのマネージャーが日常的に行っている判断です。今の段階で一番できる人に任せれば、求められる成果を最大化できる。当然のように見えますが、これだけでは十分ではありません。

 もう1つ、人事の教育視点では、「その仕事から一番学べそうな人に任せる」という考え方があります。これが、アサインメントによる育成です。

 例えば、ある仕事を自分なら2時間で処理できるとします。でも、部下なら10時間かかる。その8時間の差は、確かに今この瞬間のロスかもしれません。

 しかし、中長期で考えれば、この8時間分のロスは必ず取り返せます。なぜなら、部下がその経験を積むことで、次回から同じクオリティの仕事ができる人がもう一人増えるからです。

 例えば、ある重要な企画書の作成があるとします。自分とAさんは、すでに同様の企画書を何度も作成した経験があり、2時間で完成させることができます。一方、Bさんは、まだ企画書作成の経験が浅く、同じ仕事に10時間かかると予想されます。でも、Bさんはこの仕事から多くを学べる段階にいます。

 目先の効率だけを考えれば、Aさんに任せるべきでしょう。しかし、Aさんがこの仕事から学べることはもうほとんどありません。一方、Bさんにとっては、大きな成長機会になります。人事の教育視点では、その仕事から一番学べそうな人にさせるという考え方が重要なのです。

 私がこれまで見てきた一流のマネージャーたちは、例外なく今すぐ成果を出せるかどうかではなく「この人をここで伸ばせる」「ここで学ばせたい」という考え方で仕事をアサインしています。

 なぜなら、それがチーム全体の長期的な成長につながることを知っているからです。さきほどの例で1年後を想像してみてください。自分と同じクオリティで仕事ができる人が、チームに3人いる状態。

 これが、アサインメントによる育成がチームにもたらす「ローリスク・ハイリターン」な変化です。部下は新しい仕事に挑戦することで、確実に成長します。その結果、マネージャー自身はより高度な仕事に集中できるようになり、チーム全体の成果水準が向上していくのです。