私は再び光一に甘えるように抱きつきました。
「葵も早く結婚しなさいよ。早く嫁に行って、ここから出ていって欲しいわ」
しばし除け者にされていた姉は、ついに苛立ちを爆発させました。
「菊乃、そんなこと言うなよ。ごめんね葵ちゃん、僕たちが押しかけているのに……」
優しい光一は、そう言って私を慰めました。
「押しかけてるわけじゃないでしょ。私たちはここに住む権利があるの。わかってるのかしら?」
長女の傲慢さに、私は内心腹が立っていました。戻ってくるつもりがないと一度は両親の面倒を私に押し付けたくせに、都合が悪くなれば戻ってきて私を追い出そうとする。
出ていくべきは姉とその息子です。これからは毎日、姉の知らない話題で光一と盛り上がってやろう。姉がどこまで耐えられるか見ものです。私の中に沸々と復讐心が燃え滾るのを感じていました。
初恋の義兄に会うためだけに
大学院進学を決断
光一は、私の初恋の人でした。出会ったのは中学生の頃、菊乃の婚約者として紹介されました。私は中学校からずっと女子校で、男子との接点はありませんでした。
男子に興味のある子は男子校の学園祭に参加したり、積極的に出会いの場を作っていましたが、私はそこまで興味はありませんでした。姉妹3人が女子校という無菌状態で育ったからなのか、初めて近くで接した大人の男性に恋心を抱いてしまったのです。
東大卒の光一は、東大出の父に少し似ているかもしれません。父の家系もお金はありませんがエリートの家系なので、父が光一を気に入るのも理解できます。
「光一さんかっこいいね。私も大人になったら光一さんみたいな人と結婚する」
私は光一への憧れを隠しませんでした。
大人になるにつれて、光一への想いは募るばかりでした。私は大学院受験を言い訳に光一に家庭教師を頼んでいました。姉も理解し、光一も快く引き受けてくれました。
大学は内部受験なので、わざわざ家庭教師を頼むまでもなく簡単に合格できました。私は光一と会うために大学院の受験を決意し、志望校の選択から受験勉強まですべて光一に面倒を見てもらいました。







