そうなんだ、と弘子さんはつぶやきました。
「それで夫に当たり散らしているって事でしょうか?」
弘子さんが少し落ち込んだ様子で尋ねて来たので私は答えました。
「怒りは健一さんへの甘えなんでしょうね」
私がそう言うと、弘子さんはちょっと意外そうな顔をしました。
「甘えてるなんて考えもしませんでした。でも、夫にはなんでも分かって欲しいと思っているので、私の気持ちに気づいてくれてない、って思う時にすごくイライラします」
「健一さんは初めての甘えられる存在なんでしょうね」
弘子さんは「そうなんだ」ともう一度つぶやきました。
健一さんの方は、両親ともに真面目で堅実な家庭、兄も優等生タイプだったそうです。
「父も母も、間違った事が嫌いで。『人には優しくしなさい』ってよく言われた気が。特に困っている人は助けてあげなきゃいけないと言われました」
お母さんも働いていたので、よくお手伝いをしたそうです。だから今でも、家事自体はさほど苦ではないそう。
心理テストの結果、真面目で温厚な性格、我慢強さも認められました。弘子さんに対する愛情もあり、恐怖心というよりも、助けてあげたい、支えてあげたい、という気持ちが出ています。その結果を健一さんに伝えると、
「ああ、そうかもしれません。叩かれたりするのは怖いと思いますけど、妻は、怒りながらも苦しそうなので、どうにかしてあげなきゃって。それに、僕が怒らせているのなら、怒られないようにちゃんとしなきゃって思います」
親から教育された「困っている人を助ける」。それが弘子さんにも向けられている事が分かりました。
ピルの処方と「疲れ」の自覚で
イライラと離婚願望が軽減
夫婦同席のカウンセリングで、それぞれのテスト結果を伝え、さらに、弘子さんの場合は、PMSがひどい事も解決すべき課題であると伝えました。
「生理が関係ある事は妻からも聞いていましたけど、どれだけ辛いのか男の僕には分からないので……。ただ、我慢するしかないのかなって思ってました」







