法要後、住職は佐藤さんら親族に説教を始め「最近のご家族は先祖への敬意が足りない」「若い世代がもっと頻繁にお参りに来ないといけない」と1時間以上も繰り返したのです。

憔悴する母に何度も寄付を要求
拒否すると「それでは納骨は難しい」

 四十九日の法要後しばらくして、佐藤さんの携帯電話には住職の妻から頻繁に電話が入るようになりました。

「お母様はお元気ですか。先日は本堂の修繕についてお話ししたのですが、まだお返事がいただけていなくて……」

 電話の内容は母を気遣う内容かと思ったものの、本題は「寄付」の催促でした。この頃から母は寝込むことが多くなり、電話にも出られなくなったのです。父の納骨も母の体調に合わせるために、親族で話し合った結果一周忌に調整するほどでした。

 母に代わり、佐藤さんが対応すると「お父様が亡くなってから、佐藤家の対応には疑問を感じています。本堂の修繕に寄付をすることは、お父様への供養になるのですが」と言うのです。日々教壇に立ち、多忙な佐藤さんは次第に寺院とのやりとりに大きなストレスを感じるようになりました。

「今の母に寄付金を用意する余裕はありません。父を失い精神的にも追い詰められています。少し電話も控えていただけませんか」佐藤さんが勇気を振り絞って寺院を訪ね、住職に伝えると「それではお父様の納骨も難しいですね」と言い放ちました。

寺院が見せる強硬姿勢
発行されない「埋葬許可証」

 母をこのストレスから解放し、自分たちの代でこの寺との縁を切ると佐藤さんは決意。親族の同意も取り付けた後、都内の自宅近くにある公営墓地へ遺骨を移す「改葬」の手続きを調べました。しかし、改葬には現在の菩提寺が発行する「埋葬許可証」が必要だったのです。

 意を決して住職に離檀を申し出ると、埋葬許可書をくれるどころか、待っていたのはさらなる強硬姿勢でした。

「勝手にいなくなるのは困る。代々の先祖を供養してきた寺への不義理だ。やめるというなら、これまでの管理料の精算と、墓地の永代使用権の返還費用を払ってもらう」と言うのです。