ひとり終活大全#14Photo:taka4332/gettyimages

おひとりさまにとって、自分のお墓とともに気になるのが先祖のお墓だ。自分が祭祀承継者になっている場合、何の手当てもせずに亡くなれば無縁墓となりかねない。先祖の遺骨を移す「改葬」は年10万件を超える。特集『ひとり終活大全』(全24回)の#14は、“墓じまい”の上手なやり方のポイントをお届けする。(ライター 古井一匡)

「週刊ダイヤモンド」2022年7月16日・23日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

都市部への人口移動と少子化で
2017年以降は年10万件を超えた改葬

「墓じまい」という言葉が知られるようになったのはそれほど昔のことではない。かつてお墓といえば「○○家之墓」と刻まれた家族のためのもので、主に長男が代々引き継いで管理してきた。

 しかし、高度経済成長の頃から都市部への人口移動と少子化が進み、田舎にある先祖代々のお墓の扱いが重荷になってきている。おひとりさまで祭祀承継者(民法における祭祀財産の管理者)になっていれば、なおさらだ。

 墓じまいするには通常、いまあるお墓から先祖の遺骨を取り出し、墓石業者に頼んで墓石などを撤去。寺院など墓地の管理者に区画を返還する。お墓の区画は基本的に管理者から永代使用の条件で借りているものだからだ。

 取り出した先祖の遺骨については、新しく設けたお墓に移すことが多い。これが「改葬」といわれるものだ。

 改葬の件数は2000年代前半までは年間6万~7万件ほどだった。それが17年から10万件を超えるようになった。20年には11万7772件に達している。

 次ページでは、墓じまいの上手なやり方と注意点について解説する。